猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

天文

未明に月食

見られるかな、と思って外に出てみたらダメそうだった。月が地球の影に入るまえに、月が隣のビルに掩蔽されてしまう。でも、「もうすぐ月食がある」と思って空を見ると、「いまあのへんに地球の影があって、もう少しするとそこに月が入りこむのだな」と、夜…

「矮惑星」に和名を

昨日(id:r_kiyose:20060824)のつづき――って最近このパターン多いな。 というわけで、「矮惑星」(ドワーフ惑星)のカテゴリー新設と、冥王星の「惑星」から「矮惑星」への格下げが正式決定したみたいだ。 これに私がなぜ抵抗を感じるかを考えてみると、一…

冥王星「格下げ」に思うこと

ついに冥王星が「惑星」でなくなってしまった。ただし「学問」的には。 国立天文台の関連ページ:http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000233.html 議論自体は1970年代からあったそうだが、議論が活発化したのは、エッジワース・カイパーベルト天体(EKBO…

谷口義明『クェーサーの謎』(講談社ブルーバックス、isbn:4062574586)

『暗黒宇宙の謎』の著者の前著である。 「ブラックホール」ということばには、重さ(質量)を持たない光さえ引きずりこんで呑みこんでしまう得体の知れない恐ろしいものという感じがある。しかも、光さえ呑みこんでしまうので、光を放つことはないから、どこ…

谷口義明『暗黒宇宙の謎』(講談社ブルーバックス、isbn:4062574969)

闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。 「光あれ。」 こうして光があった。 「闇」は世界の最初にあり、あとから「光」の時代が始まる……のだが、私たちが関心を持つ世界は「光」が存在し始めてからあとの世界である。でも、「闇」…

最接近は過ぎたけれど

昨日、真夜中に物干しから真上を見上げたら、火星がよく見えた。 「今回は前回大接近ほどのぎらつきはなくて……」ということを前に書いたけど、じつはそんなこともなくて、今回も「赤い地味な星」というのとは違う明るい星として見えている。感じとしては、中…

火星最接近

今日が最接近なんだけどなぁ。曇っていて見えない。 今回は、前回の数万年に一度という大接近には及ばないものの、「中接近のなかでは大接近」ぐらいかな。地上から見た直径は、前回の25秒(360分の25度)に較べて20度で、輝いて見える面積も狭く、明るさも…

スペースシャトル

機体に負担のかからない帰還のしかたというのはないのだろうか? しろうと的知識で考えてみることにする。 機体を激しい空気抵抗にさらして速度を落とすのでは温度が上がってしまう。コロンビア事故の背景にはそのことがあったという。では、抵抗を少なれば…

『生命の星・エウロパ』のつづき

先月26日の日記 id:r_kiyose:20050626 のつづき。 この本で「生命」を宇宙に普遍的な現象として見ている。そういう発想が出てくるのは、一つは「生命→私たちと同じような知的生命」という連想をいったん断ってみるところからだ。 この本で、著者の長沼さんは…

長沼毅『生命の星・エウロパ』のつづき

この本に載っている系統樹を見てびっくりした点の一つは、植物より菌類(細菌ではなく、きのこ・カビの類)のほうが動物に近いということだった。それは、まあ、ミトコンドリアは持っていても葉緑体は持っていないのだから、そういわれれば菌類は動物に近い…

長沼毅『生命の星・エウロパ』のつづき

この本では、他の生物起源の栄養に依存せず(ただし酸素は使う)、地球から湧き出る物質を直接に取りこみ、体内に共生したバクテリアに分解してもらって栄養素にしている生物としてチューブワーム(ハオリムシ)が大きく採り上げられている。太陽から遠いエ…

長沼毅『生命の星・エウロパ』NHKブックス(isbn:4140019921)

「エウロパ」というのは「ヨーロッパ」のことだから、ヨーロッパに生命が存在するのは当然のことで……とかいう話ではない。ところで、今度のEU拡大でEUの旗の星の数は増やしたんだっけ? なんか最近はヨーロッパ憲法条約をめぐっていろいろあるみたいで、…

衛星軌道の安定性

前に系外惑星の本を読んだとき、大惑星が複数あるような惑星系は不安定になりやすく、大惑星をはじき出したり、軌道が楕円になってしまったりしやすいのだという話が出てきた。じゃあ惑星の衛星はどうなんだろう? 木星の四大衛星(ガリレオ衛星)なんか、昔…

井田茂『異形の惑星』(isbn:4140019662)つづき

ちょっとしろうとっぽい疑問を。たぶん専門のひとはこれぐらいのことは考えてモデルとか理論とか作ってるんだろうとは思うけど。 まず、原始太陽系(太陽系に限らず、恒星のまわりの惑星系)円盤形成時に、メートルサイズの塵というかかたまりがどうしても太…

井田茂『異形の惑星』NHKブックス(isbn:4140019662)

系外惑星(太陽系以外の星の惑星)について書いた本。『自由を考える』の近くに置いてあったのでいっしょに買ってきた。でも、単純な衝動買いというわけではなく、系外惑星の最初の発見(ペガスス座51番星)については、国立天文台天文ニュースがウェブで読…

天動説の話いちおう終わり

前回に書きかけた話のつづきである。 天動説がひっくり返って地動説が正しいとわかった時期の人類にとって、ではこの「コペルニクス的転回」がどれぐらい意味があったんだろう? じつはけっこう疑問だったりする。地上で点を見上げて暮らしているかぎり、地…

しつこく天動説の話

では、地動説の「正しさ」とは何かというと、一つはケプラーの法則を利用して太陽系の天体の回転をほぼすべて説明できてしまう*1簡潔さと、理論としての完成度の高さだろう。また、ケプラーの法則は、太陽系だけでなく、銀河系の回転とかでも使える普遍的な…

地動説はどう「正しい」かのつづき

今日でも占星術は天動説を使う。生まれが「○○座」というのは、太陽が天球上を動いていくと仮定して、太陽が何座の方向にあるときに生まれたかという意味だ*1。西洋占星術では太陽と月を含む惑星を地球中心に回っているものとして扱い、地球から見たときの位…

地動説はどう正しいかという話

ここ二度ほどの更新で、私のホームページで「地動説はなぜ正しいと言えるのか」という話をしている。もともと『天文ガイド』(誠文堂新光社)の2月号に載っていたえびなみつるさんのコラムをネタにした話だったが、書いているうちに自分でも「地動説はどう正…

『天文年鑑』買ってきました

『天文年鑑』isbn:4416204086 を買うと、近くの棚に『天文ガイド』も置いてあったので、いっしょに買ってきた。で、一昨日、『スクールランブル』(アニメ)を見たら流星雨の話だった。う〜ん、あれだとHR(流星の一時間あたり出現数)が一万は行ってるなぁ…