猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

遠心力の正体

 ところで、前回、「遠心力」という力があると書きました。モノは、ほうっておいたら「向きも速さも変えないで運動しつづける」という性質があるのを、手で引っぱったり、重力で引っぱったりして、その動きの向きを無理やり変えている。無理やり変えているほうの感覚を「普通だ」と思えば、逆に、振り回されているモノのほうが「引っぱられるのをいやがって、向きを変えずにまっすぐに飛んで行きたがる」ように感じられる。みかんの入っているバケツを振り回しているお兄さんも、月を衛星にしている地球も、じつは自分がバケツとか月とかを引っぱっているのに、「みかんが勝手に飛んで行きたがる」とか「月が遠くに行ってしまいたがる」とか感じてしまうのです。いや、地球さんは感じないと思いますが、地球から見ている私たちがそう感じるわけですね。それが遠心力という力の実態です。
 だから、「力」というのは案外あやふやなところのあるもので、こちらが力を入れていて、相手はただ振り回されているだけでも、自分が力を入れていることを意識しなければ、逆に「相手が自分を引っぱっている」ように感じられてしまうものなのですね。
 これはかえって日常感覚に合っているように思うなぁ……。