猫も歩けば...

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「百年戦争」の後に

 ところで、この『戦国誕生』では、幕府から守護の職をもらっても、実力でその国に入ることができなければ支配ができないとか、兄弟で親の持っていた地位を争うとか、なんか最近そういうの読んだな、『英仏百年戦争』で――という話がいっぱい出てきます。考えてみれば、「百年戦争」って、イングランドとフランスを合わせた地域での「戦国時代」みたいなもんだもんなぁ。逆に戦国時代は日本国内の「百年戦争」みたいなもので。
 そして、この本の著者が「戦国時代の始まり」としている時期は(応仁の乱が1467年〜)、西ヨーロッパでは百年戦争の終わり(1453年)の時期、イギリスでもフランスでも国土統一を賭けた内戦が戦われている時期に当たります。日本で「戦国」が本格化するころ、イギリスもフランスも内戦に終止符を打ち、さらに西のスペインとポルトガルアメリカやインドに乗り出してくる。
 「英仏戦国時代」としての「百年戦争」で「イギリス」や「フランス」がその「国」のあり方を変えたとすれば、日本の「百年戦争」である戦国時代も、たしかに「国」のあり方を変えた。でも同じように変えたわけではない。その違いや共通点に注意して見ていくことから、「世界史」の像を豊かにしていくことができるのではないかと私はいま思っています。