猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

宮沢賢治学会定期大会

 本の杜10ではたいへんお世話になりました。
 さて、9月22〜23日、「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」http://www.kenji.gr.jp/index.html の定期大会に行って来ました。
 「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」は、「研究者だけの学会」ではなく、賢治にまつわるさまざまな活動を行っておられる花巻市民の方や一般のファンの方も参加し交流するための「センター」でもあるということです。
 今年は仕事の都合で22日の懇親会からの参加でした。今年から授与が始まった「宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞」の表彰文と賞品がなかなか好評だったようなのですが、私は接することができませんでした。
 これまで、この「学会・センター」は、宮沢賢治賞とイーハトーブ賞という賞を選考してきました(今年も継続)。これは、選考はこの「学会・センター」が行うけれど、授与の主体はあくまで花巻市です。これに対して、功労賞はこの「学会・センター」オリジナルの賞ということで、さまざまな面でより自由がきいたようです。
 今年の大会には、学研マンガジュニア名作シリーズから『銀河鉄道の夜』を発表なさっている木野陽(きの・ひなた)さん http://www.etheric-f.com/ がいらしていました。このマンガは、これまでの研究成果を十分に調べ、花巻でも「ロケハン」を行って書かれたもので、賢治作品のマンガ・絵画化のなかでもクォリティーの高いものだと思っています。木野さんが、研究者、市民、ファンまでが集うこの場で、多くの方と交流されていたのは、この「学会・センター」にとってもたいへん幸いなことだったな、と思っています。
 翌日が研究発表でした。今年は4本の発表があり、とくにメーテルリンクの翻訳と、賢治がそれにどう接したかについての考証は緻密で、多くのことを教えられました。ほかにも、「職業的鳥捕り」の存在、賢治の時代の地質学と作品のなかで使われている用語など、教えられるところがありました。
 一か月足らず前に国際研究大会があり、「今年は国際大会に参加したから定期大会はもういいや」となって、参加者が少ないかな、と思ったら、逆に、懇親会・研究発表とも大入りで、「生誕120年」効果をあらためて感じました。ただ、国際研究大会があったためか、今年の定期大会の研究発表では、外国人研究者(大学院生も)の発表がなく、「国際大会は国際的、定期大会は国内的」になったかな、という感じもありました。
 今後も、この会が、研究者、市民、ファンがいっしょにいろんなことを知り、活動し、交流を深める場であり続けてほしいと願っています。