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― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

「旧太陽暦」の話

 今回作成したアトリエそねっとのカレンダーには、他ではお目にかからない「旧太陽暦」を掲載しています。
 「旧太陽暦」は、立春を1月1日とする暦です。「立春」というのは「節分の次の日」ですね。ほんとうは、「立春の前日が節分」という定義ですが、節分は豆まき行事があるので、節分のほうが立春よりも定着してしまいました。
 ……というような話が前回のあらすじでした。
 要するに、「旧太陽暦」というはっきりしたものは存在しなかったのを、アトリエそねっとで作ったんですね。ただ、ゼロから作り上げたとかでっち上げたとかいうのではなく、昔からあった「二十四節気」というのをもとに、日付を振ったのです。
 二十四節気というのは、立春から太陽が15度進むと「清明」、清明からまた太陽が15度進む日を「穀雨」というように、一年を、太陽が15度進むごとに区切ったものです。15度×24=360度なので、そういう区切りの数は24になります。これを二十四節気といいます。
 二十四節気は、まとめて言うときには二十四「節気」といいますが、立春を一番めとして奇数番めを「節気」(狭い意味での節気)、偶数番めを「中気」といいます。つまり節気‐中気‐節気‐中気‐節気……と交互に来ることになります。「節」とは「節目」で、「節気」つまり「節目の気」のまんなかが「中気」というわけです。
 伝統的にその節気・中気が月に割り振られています。具体的には:
 立春:1月の節気 / 雨水:1月の中気 (りっしゅん/うすい)
 啓蟄:2月の節気 / 春分:2月の中気 (けいちつ/しゅんぶん)
 清明:3月の節気 / 穀雨:3月の中気 (せいめい/こくう)
 立夏:4月の節気 / 小満:4月の中気 (りっか/しょうまん)
 芒種:5月の節気 / 夏至:5月の中気 (ぼうしゅ/げし)
 小暑:6月の節気 / 大暑:6月の中気 (しょうしょ/たいしょ)
 立秋:7月の節気 / 処暑:7月の中気 (りっしゅう/しょしょ)
 白露:8月の節気 / 秋分:9月の中気 (はくろ/しゅうぶん)
 寒露:9月の節気 / 霜降:9月の中気 (かんろ/そうこう)
 立冬:10月の節気 / 小雪:10月の中気 (りっとう/しょうせつ)
 大雪:11月の節気 / 冬至:11月の中気 (たいせつ/とうじ)
 小寒:12月の節気 / 大寒:12月の中気 (しょうかん/だいかん)
です。立春が(普通の)太陽暦の2月3~4日なので、立春から1月とすると(普通の)太陽暦から一か月ちょっとズレることになります。
 この「旧太陽暦」は、「節気」(狭い意味での節気)を各月の1日として、そこから順番に日付を振ったものです。つまり、立春を1月1日、啓蟄を2月1日、清明を3月1日……として日付を振りました。立春が1月(正月)の始まりの日、啓蟄が2月の始まりの日……という感覚は昔からあったので、「日付を振る」というところだけがアトリエそねっとのオリジナルということになります(でももうやったひともいるかも)。
 太陽暦の一年は365.2422日、つまり365日と5時間48分46秒ぐらいです。太陽は365.2422日で一周する。つまり360度進むわけです。ということは一日でだいたい1度ぐらい進む。だから、節気から次の中気まで、中気から次の節気までは15日ぐらいのはずです。
 しかし、太陽が一日1度ずつ進んでいれば一年は360日のはずで、実際にはそれよりも5日と5時間48分46秒くらい長い。したがって、節気から次の中気、中気から次の節気までは、平均すると15日より長くなります。だいたい15.22日で、15日と5時間15分ぐらいです。日で区切ると、4~5回に一回、この間隔が16日になるところを置けばいいのです。このやり方を「平気法」といいます。
 この「平気法」で「旧太陽暦」を作れば、節気(狭い意味での)からあいだに中気をはさんで次の節気までは30日か31日となります。つまり、一年に、ひと月が30日の月を6~7回、ひと月が31日の月を5~6回置けばよい。いまの太陽暦とあまり変わりません。
 ところが、実際には、こうなりません。というところで、次に続きます。