猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

ちょっと悔しかった話

 系外惑星の直接撮影を目標の一つにしていたすばる望遠鏡が、まずハッブル宇宙望遠鏡に先を越され、続いて、ケック望遠鏡とジェミニ(北)望遠鏡にも先を越されたのを知ったときには、やっぱり正直に言って悔しかった。
 もちろん、高性能の望遠鏡を使った観測チームがいくつも系外惑星の直接撮影を狙っていたわけですし、観測装置や補償光学の水準からいっても、たぶん「どのチームが最初に見つけてもおかしくはない」状況ではあったのでしょう。また、観測に「競争」の要素があるのは間違いないし、その競争が科学の発展に寄与することも間違いないと思うのですが、目立つニュースで「一番乗り」すること自体が科学的に大きな意味を持つとは限りません。すばる望遠鏡は、それまでも原始惑星系円盤っぽい円盤状天体をいくつも撮影していました。そして、それが、標準的に想像されている「普通の円盤」とは限らず、「バナナ型」だったり、銀河のような「腕のある形」だったりすることを明らかにした。それはすばる望遠鏡の誇ってよい大きな成果だと思いました。
 けれども、その直前の国立天文台特別公開で、国立天文台准教授 田村元秀さんの講演を拝聴し、すばる望遠鏡チームが系外惑星直接撮影にかける情熱をきいていただけに、やっぱり系外惑星直接撮影はすばるが「コロナグラフ撮像装置 CIAO 」(「チャオ」と読むらしい。装置の説明は http://subarutelescope.org/Introduction/j_instrument.html#CIAO)を使って一番乗りを果たしてほしいと思っていたのです。ところで今月の『ちゃお』は http://www.ciao.shogakukan.co.jp/kongetu/すばる望遠鏡にも系外惑星にもあまり関係ないと思う)。