猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「いまのような国」への第一歩

もちろん、百年戦争の決着がついたからと言って、イギリスとフランスがすぐに「いまのような国」(国民国家)になったわけではありません。フランス王家が15世紀の末にいまのフランスの領域に当たる領土から反抗的な諸侯を一掃して国家統一をなし遂げるまで…

しかし終わったときには「国」どうしの戦争だった

だから、「百年戦争」は、フランス王と、イギリス王の地位を持つフランス諸侯とが、「家の財産」の取り分を争う戦争として始まった。要するに、フランスの王侯貴族どうしの戦争だったわけです。イギリスとフランスの戦争ではなく、そのフランスの諸侯の一方…

「家の財産」としての王位・諸侯の位・領地

こういう状況を理解するためには、二つのことをわかっておく必要があるでしょう。 まず、フランスの「〜〜公」とか「〜〜伯」とかいう諸侯は、形式としてはフランス王の臣下なのだけれど、だからといってフランス王の言うとおりに動くとは限らない存在だった…

「イギリス王」はフランスの諸侯だった

そんなわけで、アンジュー伯とかノルマンディー公とかアキテーヌ公とかいうフランスの諸侯(大名)を兼任しているイギリス王の支配するイギリス(この時代はイングランドのみ)と、フランス王のフランスの戦いが百年戦争――ということになるわけですが、これ…

「イギリス史」と「フランス史」からの百年戦争

まず、普通に理解されている「イギリス史」と「フランス史」で、百年戦争の概略を説明すると――。 イギリス(イングランド)王がフランスに領土を持つことになったきっかけは、1066年の「ノルマンの征服(ノルマン・コンクェスト)」だった。イギリスを征服し…

佐藤賢一『英仏百年戦争』集英社新書、isbn:9784087202168

教科書的には、1337年に始まり、1453年に終わったとされる、イギリスとフランスの「百年戦争」の歴史について書かれた本です。 著者の佐藤賢一さんは、作家ですが、この本に出ている経歴によると、東北大学の文学系の大学院の課程(たぶん博士課程)を最後ま…