猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

2010-01-01から1年間の記事一覧

宮沢賢治と量子力学

TRIP 新刊として、一週間で『春と修羅と量子力学』という評論を作って持って行きました。「花巻だから宮沢賢治」ということも少しはあるのですが、それより、前から「宿題」として抱えていたことの「中間報告」です。秋葉原と御徒町の中間にあるカフェ「月夜…

TRIP?Star行って来ました

え〜と、今回が「?Star」でいいんですよね? というわけで、花巻のイベント TRIP?Star 行って来ました。もう一週間前のことになりますが。 余裕を持って行くつもりでいたのに、けっきょく会場到着が12時前とこれまでで最も大幅な遅刻になってしまいました。…

次は花巻です

というわけで次回の即売会参加は花巻の Trip?Star です。花巻市しんろう会館で10時開会、14時までです。よろしくお願いします。 今週も仕事は目白押し……目白が押してるところって見たことないけど。山手線の目白駅で駅員さんがラッシュアワーにお客さんを押…

「何気ない日常」の描写

今回、会場で買った他サークルさんの本を読んでみて、ふと気づいたのが、「何気ない日常」の描写です。もしかすると自分はそれが苦手なのではないかと思いつきました。なんでもない場面を描いていると、すぐに何か事件を起こしたがる。小さなできごと、小さ…

ゆりかもめを東京駅まで伸ばすとしたら

ところでコミティアやコミックマーケットに行くたびに思うのが、鉄道交通の「不便」さです。 もちろん便利なんですよ。新橋と豊洲から「ゆりかもめ」が通じ、新木場と大崎・大井町からりんかい線が通じているわけですから。とくに、新宿・池袋方面から行くば…

コミティア行って来ました

コミティア94(東京)にサークル参加してきました。参加者のみなさま、お疲れさまでした。 いつもは即売会前日は睡眠時間が3時間以下で、体力が限界の状態での参加なのですが、今回は6時間近く眠っての参加で……やっぱり体力が限界状態でした。土曜日のお仕事…

一か月のあいだ何をしていたか?

講談社青い鳥文庫の『初恋アニヴァーサリー』を読了しました。倉橋耀子さんのお話がいいと思って本棚を見ると、前に買ったまま読んでいなかった倉橋さんの青い鳥文庫(『いちご』)を見つけた。その青い鳥文庫を取り出したら、その後ろから、20世紀に買って…

評論

『ミンキーモモ』の脚本家の首藤剛志さんが亡くなったと聞きました。『ミンキーモモ』の主題歌を思い出した私は、ふと、自分は「大人になって何になったのだろう?」と自問しました。「何になった?」と訊かれて、いまの職業を答える? 社交的な場ではそう答…

小説:黄昏の大地 第三巻

夏コミティアから延々と落ち続けて2か月半、ようやく出ます。第二巻が去年の冬だから、また一年が経ってしまいました。 人間と巨大鳥と龍が住む世界が舞台のファンタジーです。爬虫類と鳥まではいるんだけど、哺乳類がいない世界で、人間は巨大鳥と巨大爬虫…

コミティア94に行きます

14日のコミティア94に出ます。「む10a アトリエそねっと」です。西1ホールと西2ホールの境目のあたりです。 申し込んだ時点で11月中ごろの仕事が多くなることはわかっていて、申し込むかどうか迷いました。最初は申し込まないつもりでいたのですが、締切直…

コミティア行きます

ここのところ仕事が尋常ではなく忙しくて、また一か月間以上ご無沙汰しました。すみません。 仕事の絶対量も多いのですが、それより、複数の部署とかカイシャの外部とかからいろんな仕事が来ているので、仕事時間をコントロールするだけで疲れる。しかも、事…

「くり込み」は正しいか?

では、この「くり込み」は「正しい」方法なのか? それはまあ、まちがっているとしたらノーベル賞は出ないだろうから、「正しい」のでしょう。しかし: 電子のまわりの電子‐陽電子対は、計算して見ると無数に発生することになる → 電荷が無限大になって計算…

時間が短いと「保存則」は破れるという法則がある

ここでは、これまで私が知らなかったことも書いておきましょう。 私はじつは佐藤先生の『破られた対称性』だけではどうにもわからないところがあるので、別に広瀬立成『対称性から見た物質・素粒子・宇宙』(講談社ブルーバックス、isbn:4062575051)という…

「くり込み」とは?

「くり込み理論」の「くり込み」を「繰り込み」と漢字で書くと、「くり込み理論」がわかっていないことになるんだそうです。なぜかは私にはよくわからない。佐藤さんによると、くり込み理論の「くり込み」とは ……「当面こうしておいて本質は先送り」といった…

「くり込み」は「正しい」か?

佐藤文隆『破られた対称性』をめぐる話が続きます。いや、前回は即売会の帰りの荷物が重くなる話でしたけど。

「今度こそ!」

ところで、やっぱり新刊を作っていなかったことは後悔しました。どんなに急ごしらえでも、お客さんがいらしたときに「これ新刊です」と言えるものがあるかどうかというのは、売る側の気の張りという点でもかなり違うように思います。 ここにずっと書いている…

イベント帰りに鞄が重くなることの量子力学的解釈

今回は、午前中は雨という予報があり、いつも使っている背負うバッグの防水が怪しくなっていたので、手提げ鞄で行ったのですが、これが失敗で。とくに本を買った帰りはとても重かったです。 これはやっぱり、岩漫が開かれているあいだに相転移が起こって、ヒ…

岩漫遅刻の量子力学的解釈=言いわけ ほか

岩漫61に行って来ました。 東京から参加していて、しかも前の晩までジタバタしているのが普通なので、毎回遅刻、前回は大幅遅刻という実績で、今回は新刊がなかったので間に合うように行こうと思っていたのですが、……すみません起きた時点ですでにどうやって…

「何もない」は言えない場を相手にする学問

「何もないことになっている真空のなかにあるかも知れないもの」として考えられるものを並べてきました。専門家じゃないひとが考えつくことと言ったら、これぐらいじゃないかな――といまの私は思っています。 「真空」というのを突き詰めて「ほんとうに何もな…

「あるものがない」とは言えるが「何もない」とは言えない

3. 私たちには見つけ出すことのできない何者か 私たちはこの世のなかに存在する「もの」をすべて知っているわけではありません。しかも、それは、どこか遠いところに隠されていて、何か特別な魔法と特別な鍵を手に入れれば私たちの手に入る、というものばか…

「京都力」の働き

2. 粒子の対生成と対消滅 「零点振動」というのがこれだと思うのですが、私にはよくわかりません。 「何もない」というのは、安定しているようでいて、けっこう不安定です。ね? 私たちだって「よけいなことを考えるな」といわれたら、かえって「よけいなこ…

では「真空」には何がある?

そこで、「真の真空」がないとすれば、その「真空」には何があるか? 私の理解で整理すると、これがまたいくつかの意味があるように思いますので、それを書き連ねてみます。 1. 「力」を伝える媒体の粒子 「真空」でも電磁波は伝わる。目に見える光も電磁波…

世界に「真の」はない

佐藤さんがこの本で強調しているのは、素粒子物理学には「真の……」という存在はないということです。 典型的なのが「真空」で、普通に「真空」というと何もないことです。しかし、素粒子物理学では「何もない真空」はない。 その意味というのが、この本の説…

「岩漫の新刊」はありません

今日作るということにしていたのですが、無料配布の『すずのね』を作ったところで時間が来てしまいました。数年前なら、そこから原稿を書いて割り付けて印刷して製本して寝ないで持って行くということに挑むだけの元気があったのですが、今年はちょっとその…

「真空」のなかには何があるか?――の考察

今日もまた佐藤文隆『破られた対称性』についてです。で、また最初にお知らせです。

「段階論」以外の考えかた

しかし、佐藤さんによると、素粒子物理学でも「段階論」以外の考えかたもある。その一つは、起こってしまった現象から何が起こったかを考える観想的な立場で、量子力学の基本を作ったうちの一人、ニールス・ボーアの立場がそれにあたるということですが……こ…

「段階論」という発想

そこで、科学者であり、マルクス主義者でもあった武谷三男というひとが「三段階論」というのを唱えた。自然認識は「現象論→実体論→本質論」と段階を追って進む。段階を飛ばしたら失敗するという考えかたです。 これは、当時のマルクス主義の革命理論と同じ性…

「文系」・「理系」が分かれる以前の「科学」

マルクスが思想家として登場した1840年代ごろというのは、「科学」(サイエンス。むしろ「知」というほうが近いと思いますが。「知」ってこなれないことばなので私はあまり使わないけれど)が「人間・社会についての科学」と「自然についての科学」が分離す…

マルクス主義が「宇宙的」に正しかった時代

いまとなっては、マルクス主義はせいぜい社会についての理論にすぎません。しかもその「正しさ」感は失われています。「マルクスを再評価しよう」とがんばっている人は何人もいますが、「マルクス主義」の評価はよくない。マルクスの再評価に取り組んでいる…

「思想としての理論物理学」論

この『破られた対称性』の特徴は、理論物理学の思想的背景について深く触れているところだと思います。 20世紀の日本の素粒子物理学に大きな影響を与えたのが名古屋大学の坂田昌一という研究者で、この坂田昌一はマルクス主義の影響を強く受けた研究者だった…