猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

では「真空」には何がある?

 そこで、「真の真空」がないとすれば、その「真空」には何があるか? 私の理解で整理すると、これがまたいくつかの意味があるように思いますので、それを書き連ねてみます。
 1. 「力」を伝える媒体の粒子 「真空」でも電磁波は伝わる。目に見える光も電磁波ですし、レントゲン撮影に使うエックス線とか、日焼けの原因である紫外線とかも電磁波です。電波も、赤外線も電磁波で、「ガンマ線」というエネルギーの高い放射線も電磁波です。……で、これで全部言えたかな?
 で、そういう電磁波が真空を伝わるということは、観測すればそこに「光子」という粒子が観測できるということだから、「光子」がある以上は、そこは「何もない場所」ではない。「何もない場所」を「真空」というならば、光を含む電磁波の伝わっている場所は「真空」ではない。
 同じように、重力が働くということは、理論物理学では「重力を観測すれば重力子(グラビトン)というのが観測されるはずだ」と考えるので、重力が働く場所はやはり「何もない場所」ではない。ただし、光子の存在は、フィルムとか、デジタルカメラの感光部とかで確認できるけれど、重力子の存在は確認できていないので、「重力子なんてものはない!」と言い張れば、まあ「重力が働いていても、その場所には何もない」と言えるかも知れませんが。
 また、原子の内部も、原子核と電子のあいだには「真空」が広がっているとし、原子核のなかでも、原子核を構成しているクォーククォークのあいだは「真空」だとしても、原子核と電子のあいだにはやっぱり電磁力が働いているから、「光子」はあることになる。遠いところまでは届かないけれど、原子核のすぐ近くには「弱い力」の場というのがあるので、「弱い力」を伝える粒子も出たり引っこんだり(吸収されたり)している。クォークうしのあいだには、クォークを結びつける「強い力」が働いているから、「強い力」の粒子(グルーオンとか膠着子とかいう)がある。だから、原子のなかや原子核のなかにも「何もない場所」としての「真空」はない。
 ――って、普通は原子のなかに「真空」があるかどうかなんて考えないと思いますけど。
 量子力学的に考えると、力が伝わるとそれに対応する「粒子」があることになるので、力が伝わるともうその場所は「真空」ではないことになります。