猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

シェヘラザード 作詞:山下 慎一狼/作曲:岩野 道拓

 この曲は試聴CDには入っているのですが、記者会見では触れられませんでした。
 シェヘラザード(またはシェエラザード、シェーラザード)は『アラビアンナイト』の語り手のお姫様の名まえですね。正則アラビア語では「シャハラザード」になります(だから、そんなことはどうでもよく……)。ラヴェルやリムスキー‐コルサコフ(だったかな?)にもシェヘラザードをテーマにした曲があった……と思います。ラヴェルのは歌曲の組曲で、晩年の曲ですね。
 曲調の展開にかかわらず、打楽器系の音が同じリズムを刻み続ける、櫂で漕ぐ船で海を渡っているようなアレンジです。単調な櫂の音と、後ろに流れていく航跡と。あいかわらず月夜の窓辺、そして月夜の窓辺で夢見る、幻想の月夜の孤独の船旅、どこか遠くに行く旅というよりは、すぐ近くにあるのにけっして行き着くことのできない、自分の中にある子どものころの思い出への夜の長い船旅という曲というといいのかな。これも、けっして暗くはないけれど、せつなく儚い、そしてちょっとけだるい、やりきれない曲調の曲です。春菜さんの声は、『Confetti』の「真昼の月」とかもそうだけれど、こういう曲にも合っているように思います。