限りなく有名な例のあれ
これは、米沢穂信「古典部シリーズ」のある作品の書き出しの部分です。
「奉太郎?」と姉貴は声をかけた。
むだなことをきくものだ。俺以外の人間であるはずはないからだ。じつを言えば、俺がしばらくぐずぐずしていた理由は、まさにこの姉の供恵なのだ。イギリスの作家キップリングの語るところによれば、マングース族のモットーは「行け、そして嗅ぎ出せ」というのだそうである。もし姉貴が紋章を選ぶようなことがあったら、俺は、マングースが後足で立った図柄を推薦したい。ただし姉貴のばあいは、この標語の前半分は省いてもいい(省くとは甘美な響きだ)。姉貴はじっと家に座っていながら、嗅ぎ出したいものは、ちゃんと嗅ぎ出してしまうからだ。どうしてそんなことができるのかわからないが、ともかく嗅ぎ出してしまうのだ。
……というのは、嘘です。
では、これは何かというと……。
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