衛星軌道の安定性
前に系外惑星の本を読んだとき、大惑星が複数あるような惑星系は不安定になりやすく、大惑星をはじき出したり、軌道が楕円になってしまったりしやすいのだという話が出てきた。じゃあ惑星の衛星はどうなんだろう?
木星の四大衛星(ガリレオ衛星)なんか、昔から同じ軌道を回り続けているのだろうか? 少なくともガリレオが観測したときから同じようなところを回っているのはたしかだ。また、イオとエウロパは月と同じぐらいの大きさがあり(月並みである。しかし月並みの衛星はじつは少ない)、ガニメデとカリストは水星並みの大きさがある。ガニメデは水星よりでかい(ただし質量は水星のほうが倍ぐらいある。密度の違いである)。ああいう衛星がふらっと外から来て、木星に落ちずに安定した軌道を回り続けるという可能性もあまりなさそうなので、四大惑星はずっと回り続けているのだろう。
重力の影響を最小限に抑えて安定した軌道を回り続ける条件として、公転周期がかんたんな整数比になっている(「尽数関係にある」というらしい)というのがある。内側の衛星が外側の衛星を追い抜く位置――つまりその二つの惑星の引力が最大になる位置がだいたい固定されてくるので、軌道が大きく乱れないということだ。
で、調べてみると、
- イオの公転周期(約1.8日):エウロパの公転周期(約3.6日)=ほぼ1:2
- エウロパの公転周期:ガニメデの公転周期(約7.2日)=ほぼ1:2
- ガニメデの公転周期:カリストの公転周期(約16.7日)=ほぼ3:7
内側3つは1:2:4という関係で、尽数関係になっている。まあ3:7を「尽数関係」というかどうかは微妙なところだけど。
あと、やっぱり問題はあって、尽数関係といっても100分の1程度の誤差はある。つまり100公転すると誤差が1に達するわけで、しかも、公転周期が短いので、一年から数年で誤差が100公転ぐらいしてしまう。だから天王星や海王星の軌道あたりでゆっくり回っている天体とはわけがちがう。
でも、軌道が不安定にならないメカニズムはあるはずなので、それは何なのかな? う〜む。