猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

でも、やっぱり生命は水がないと発生しないのか?

 ただ、この「結論」も絶対的なものではありません。
 まず、「活発な化学変化」がなくても、長い時間をかければ、生命を生むような化学変化が起こらないとは限らないということです。軽い星は非常に寿命が長い。だから、そういう星のまわりに惑星系があれば、そこでは、水のような物質がなくても、ひじょうにゆっくりと化学反応が進んで、生命が発生しないとも限りません。あるいは、惑星系がなくても、塵やガスの円盤が、土星のリング(そういえば今年は土星のリングが地球から見えなくなる年である)のように長いあいだ安定して存在し続ければ、その円盤状の星雲のようなもののなかに生命は発生するのかも知れません。
 それに、生命というものが、そんなに複雑な過程を通らないと生まれないものなのかという問題もあります。あんがい「さくっ」とできてしまうかも知れない。いまの地球上の生命を見ると、いちばん古い種類のバクテリアであっても、生命は精巧にできていて、とてもそう簡単に「さくっ」とできそうにはない。しかし、地球上の生命ほど精巧にできていなければ、「生命」にはならないのか? もっと単純で高度な「生命」というのはあり得ないのか? そうなるとまたSFの領域に入っていきますけれども、まあ考えてみたいことではあります。
 ところで、今回の一連の話では、「水」のことを中心に取り上げました。しかし、ほかにも宇宙には「この物質がなければ宇宙は大きく変わっていただろう」という物質がたくさんあります。鉄もそうですし、炭素もそうです。そういう物質については、また機会があれば取り上げたいということで、ご了承お願いしたいと思います。でも、炭素さんや鉄さんが「了承」してくれなかったらどうしよう……。