猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

ロックの「財産」論は「人間中心」か「エコ」か?

 このロックの「財産」論は、一方では、「世界はあらかじめ神様によって人間に与えられている」という「人間中心の自然観」につながる。神様から、世界にあるあらゆる「もの」は動植物を含めて人間が優先的に使っていいという権利を与えられているというというわけです。人間が地球や宇宙の資源を使う権利は神様から与えられているという「資源神授説」、「資源使用権神授説」です。フィルマー卿の「王権神授説」には反対でも、けっきょく「神授説」なんだ。
 けれども、他方で、「人間の生存に必要なぶんしか人間には使う権利がない」という読みかたをすれば、人間の資源利用の範囲というのは制限されて当然だということになります。そうすると、ロックの「財産」=「人間一人ひとりが生き延びるために与えられている固有のもの」論は、「省資源」・「省エネルギー」の思想の原点として読むこともできる。
 ロック自身は、自然保護や省資源・省エネルギーに主な関心があったわけではありません。フィルマー卿が「アダムは神様から地上のすべてに対する支配権を与えられていた。だから、その後継者である王も地上のすべてに対する絶対的支配権を持つ」と論じたのに対して、アダムも自分が生き延びるのに必要な「財産」以上のものへの支配権は与えられていなかったのだと反論したかったのです。
 ところで、腐らせて(発酵させて)食べる食べものもあるんですけど……。