猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

2009-06-23から1日間の記事一覧

ロックの「財産」論は「人間中心」か「エコ」か?

このロックの「財産」論は、一方では、「世界はあらかじめ神様によって人間に与えられている」という「人間中心の自然観」につながる。神様から、世界にあるあらゆる「もの」は動植物を含めて人間が優先的に使っていいという権利を与えられているというとい…

人間が生き延びるためにこの世界が造られた

さて、ここまでのところは、人間は生き延びるべきであり、しかし悪いやつは殺されてもしかたがないという議論で、それほど独特な感じもしない。 ロックで独特なのは、この世界は、人間が「生き延びる」ための「資源」として神様から人間に与えられているとい…

「人を殺しても生き延びてよいか?」への答え

ところで、「自分が生き延びる」という義務と、「人を殺してはならない」という義務がぶつかったときには、「自分が生き延びる」ほうが優先されます(ただし自分は善良な人間であるということが前提ですけど)。つまり、悪人に襲われたり、悪人が人を殺そう…

親の権利・権力

また、子どもは親から生まれるとしても、子どもの命はあくまで神様が与えるものだというのがロックの原則です。親は、子どもが大きくなるまで、子どもが無事に大人になるように保護し管理するように、神様から委託されている存在だと考えます。だから、親が…

「自分が生き延びる」ことが人間の最低の義務である

ここから、まず、人間は神様によって造られたのだから、人間が勝手に人間の命を奪ったり、縮めたりすることは基本的に許されないという原則が出てきます。自殺は許されないし、たぶん、むちゃな生きかたをして命を縮めたりしてもいけないのでしょう。原則と…

人間は神が作った、世界は人間のために神が造った

ロックは、フィルマー卿の王権神授説の議論を「聖書にはそんなことは書いていない」と聖書(主に旧約聖書)を縦横に引用しつつ論破したわけですが、自分の政治論をうち立てるのには必ずしも聖書の記述にこだわっていません。 ロックの議論の基本は、人間もこ…

ジョン・ロックの「財産」論

ジョン・ロック/加藤節(訳)『統治二論』の「第二論」(通称「市民政府論」)の話のつづきです――と言いつつ、これまで長いあいだあまり関係なさそうな話題をさまよっていましたが、今回は「第二論」自体に話を戻します。