猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

「自分が生き延びる」ことが人間の最低の義務である

 ここから、まず、人間は神様によって造られたのだから、人間が勝手に人間の命を奪ったり、縮めたりすることは基本的に許されないという原則が出てきます。自殺は許されないし、たぶん、むちゃな生きかたをして命を縮めたりしてもいけないのでしょう。原則として、他人を殺すことも神様によって禁止されていると考えます。
 人は、できるだけ生き延びなければならない。難しくいうと自分を「保存」しなければならない。神様が決める命の終わりに到達するまで、ちゃんと生きるという義務を人間は神様に対して負っている。それがロックの人間観の基本です。
 なぜ生き延びなければならないかというと、人はこの世のなかで「神様に与えられた役割」を果たさなければならないからです。それが何なのかよくわからないけど、神様は何かをしようとしている。そして、神様が人を造ったのもその「神様の事業」を推進するためである。だから、人間は生きて神様の役に立たなければならないのです。
 神様が人間一人ひとりに一定の寿命を与えたのは、その期間、生きていることが、「神様の事業」推進のために必要だからです。「神様の事業」が何かは人間にはよくわからない。だから、どうすれば「神様の事業」に役立っているのかはわからない。けれども、神様が決めた期間はこの世のなかで生き延びていることが神様に対する最低限の義務ということになるわけです。