猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

貨幣は腐らないからいくら溜めてもかまわない!

 ロックの「生き延びるために必要なものは自分に固有のもの=自分の財産にできる」という議論には「いつか自分が生き延びるために利用できればよい」という条件がありました。
 ロックの議論を「人間は自分が生き延びるために必要な分の財産しか持ってはいけない」と解釈すれば、極端な倹約論のようにも読めてしまいます。けれども、ロックの議論は「いつか、だれかが使う可能性があるのならば、人間は財産をいくら溜めこんでもかまわない」という方向に進みます。
 穀物を収穫してほうっておいて腐らせてはいけない。でも、一年先でも食べればいいし、もし食べられるならば十年先に食べてもいい。「いつか」食べるのならばいいのです。「腐って食べられなくなる」という状態にならなければいい。また、自分が生き延びるために役に立たなくても、他人が生き延びるために利用してくれるならばそれでもいい。
 ここから「貴金属でできた貨幣は腐らないから、貨幣でならばいくら財産を溜めこんでもかまわない」という議論が出てきます。