猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

2009-06-27から1日間の記事一覧

「交易」がロックの貨幣論の本質である……のでは?

ロックの貨幣論は、貨幣自体が「腐らない」ということが強調されているので、読んだとき何か変な感じがする(少なくとも私はしました)。でも、貨幣が腐るか腐らないかだけがこのロックの議論の「本質」ではない――といまでは思っています。 短い時間で腐って…

「交易」の登場

ただし、さっきから何度も書いている限定があって、自分で労力を使って手に入れたものでも、腐らせてしまうしかない部分は自分の「財産」にはなりません。たとえば、温帯地方で、冷蔵庫も冷凍庫もなくて、自分一人で食べる目的で「100食分の肉」を獲得しよう…

労力をかけて自然から取得すれば自分の「財産」になる

さて、ロックのばあい、自然の状態で(つまり、人間どうしの約束ごとがとくに存在しないばあい)「これは自分の財産だ」と主張できる根拠は、「自分の労力で手に入れたこと」です。森の木の実はだれのものでもないけれど、それをもぎ取って自分のものにした…

「腐る」ことが日常的に起こった時代の思想

上のところまで書いて、冷蔵庫に入れておいた作り置きのごはんとおかずを温めて飯を食いました。そこであらためて考えてみれば、17世紀って、冷蔵庫がなかったんだよなぁ。防虫剤も、除湿装置も。だから、ロックがこれを書いた時代、「あとで使おう(食べよ…

貨幣で溜めても人間が一生に使える財産には限界がある?

以前、最初にロックのこの議論を読んだときには「わ〜、むちゃくちゃ言ってるよこの人!」と思いました。 貨幣で溜めた財産であっても、人間が「生き延びる」ために一生に使う財産には限りがあるはずで、それを超えて財産を溜めこむのを認めるのは、それまで…

貨幣は腐らないからいくら溜めてもかまわない!

ロックの「生き延びるために必要なものは自分に固有のもの=自分の財産にできる」という議論には「いつか自分が生き延びるために利用できればよい」という条件がありました。 ロックの議論を「人間は自分が生き延びるために必要な分の財産しか持ってはいけな…

「貨幣は腐らないからいくら持ってもいい」の解

あいかわらず、ジョン・ロック/加藤節(訳)『統治二論』「第二論」(通称:「市民政府論」)の話です。