猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

4分の3と4分の1

 quatrequarts ということは、4分の3までが、作曲(+編曲)、作詞、歌で、最後の4分の1が聴く人ということになるんでしょうけど。
 Confetti でも『光の花束』でも、最初の4分の3が、ていねいに、念入りに、しかも凝って作られているということを感じます。『光の花束』を聴くと、いまでも、この曲をかけっ放しにして聴いていたころの情景が浮かび上がってくるくらいです。アルバム・ミニアルバムとしての完成度が高いと思います。
 それと同時に、ここのところ春菜さんは「最後の4分の1の作品への参加」を大事にしておられるようで、それは、『Mac Fan』の企画(「池澤春菜の天声姫語」)でMac音ナナ(という名がまだなかったころ)に「ナナさんに言ってほしいせりふ」を募集したり、Mac音ナナの名まえを公募したりというところからも感じられました。それで、その次は、『光の花束』でインストゥルメンタルスキャットで歌って、歌詞を募集したり、


 この記者会見もかなり変わってておもしろいことですよね。
 今回も、自分の声を素材にして作ったMac音ナナさんの声で、耳ロボPさんが作られた曲を、「池澤春菜」でカバーする(しかも「血へどを吐きながら」その曲のPVも作る)ということもやってらっしゃいますし。しかもそれが去年のフルアルバム Confetti の「Dolce Vita」にあたる曲順、つまり歌詞のある曲としてはいちばん最初に入っていますし。
 ……まあ、昨年、Confetti が出たときに、『Mac Fan』のホームページのムービーで、「池澤春菜Mac音ナナ(という名ではなかったが)合同記者会見」という企画をやっていたときから、こういうのがやりたかったんだろうな……とは思っていましたが。
 こういう「双方向」志向というのは、自分で Mac を操作してニコニコ動画を見たり、投稿したり、自分でホームページの日記の記事をレイアウトから構成したり(最近、容量オーバーで実験的にブログに移行されているみたいですが……オリジナルデザインのレイアウトが見られなくなるとするとちょっと残念です)している声優さんだからかな、ということも感じます。あと、勝手に想像すると、お料理好きで、不定期にお客さんを招待して「ビストロ春菜」を開いたり妹ちゃんさんや甥っ子さんにお菓子を持って行ったりしておられるて春菜さんは、どんな料理を作っても、最後に食べるときの気分、食べるひとの気分でどんな味を感じるかは変わるということを実感しておられるんじゃないかと思います。アルバムについては、

 やっぱり四分の三まで作り上げてきて、最後の四分の四を、みなさんにお渡ししてどんなふうに受け止めてもらえるかな、どんなふうに聴いてもらえるのかなっていうのが、すごく楽しみなようでもあり、不安なようでもあり、といったところですかね。それぞれが、四分の四の最後のピースを、こう、みんなの心のなかではめてくれるといいなと思っております。
ということでした。
 そして、「最後の4分の1」である私たちに望むことについては

 そこは、もう、わたしとしては聴いてくださる方それぞれが自分のカラーをつけて楽しんでいただければいいなと思うんですね。なので、本とかもそうだと思うんですけど、作者の手を離れて世の中に出ていった瞬間から、それはもう独り立ちして、受け取っていただく方のものになってしまうと思うんですね。だから、それぞれが気に入った曲を見つけてくださって、気に入ったシチュエーションのなかで楽しんでいただければいいな、と思っております。はい。あなた色に染めてね――ってとこですね。
というお話でした(じつはこれが最初の質問への答えでした)。
 ところで、今回の「合同記者発表」で感じたのは、どの質問もいい質問だったということです。私は、職業柄、質問したり、人の質問を聞いたり、たまに自分のプレゼンに対して質問されたりということが多い。で、そういうときに、質問が意味不明だったり、質問なのに自分の説を延々としゃべったり、その場では答えようがない質問が出たりして困ることがよくあります。半分以上がそういう「質問」でうんざりすることもあったり……ってそういう愚痴はやめましょーね(書いてるやん……)。
 ところが今回はそれがまったくありませんでした。春菜さんが「すてきな質問考えてきましたね。すごいですね」と感心するようなことも……春菜さんのお答えもよかったのだと思いますが、みんないい質問をしようと思って考えてきたんだと思います。そういうことからすると、その「最後の4分の1」もいい味になるのではないかと私は思うのですが。
 今回は、「求む歌詞!」の入選曲(歌詞)が決まった決め手は何だったかとか、Mac音さんの曲をカバーしたときのお気持ちは、とかを質問したいと思っていたのですが、けっきょく時間切れになってしまいました。
 Confetti を聴いて、自分の声の「甘さ」に気づかれたと発言しておられましたけれど、インタビューを聴いていると、それだけではなく、「池澤春菜池澤春菜の声をどう演じるか」ということに自覚的に取り組んでおられるようにも感じられます。それは、前回の「昼のお茶会」で朗読を披露され、今回のアルバムにも特典として朗読が収録されていることからも感じます。
 ということで、もう一週間を切ってしまいましたが(ごめんなさい……)、アルバムの発売を楽しみにしていたいと思います。
 最後に、お断りで、これもお詫びなんですけど。
 写真は「いちばんきれいに撮れているものを載せてください」というご要望で、私もカメラを持って行っていたのですが、写真の技術も未熟なのに、マニュアルで、夜の室内でフラッシュなしでISO200で絞り8でシャッタースピード1/8とか1/4とかいうむちゃな撮りかた(どこか変えればいいやん…とあとになると思うのですが)をしたものだから手ぶれが激しく、公開できるお写真がとれませんでした。……ごめんなさい。