猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』

 やっと最小国家ができるところまでたどり着いた……ふぅ……しんどかった。
 ノージックの議論をちゃんとたどれているか、はなはだ自信がないのだが、たぶんこんなところじゃないかと考えている道筋は:

  1. 諸個人が自分の身の安全とか自由とかを守るために自発的な「保護協会」を結成。
  2. 「保護協会」どうしのサービス競争や抗争を通じて、一地域で優勢な「保護協会」が確立する。しかし、その地域には「保護協会」に参加していない個人も存在している。
  3. 「保護協会」は、その地域で「保護協会」に参加していない個人が「保護協会」メンバーに対して自力救済することを認めない。なぜなら、そういう個人の自力救済のやり方(だれに、どんな方法で制裁を科するかなど)に信用がおけないからである。また、「保護協会」に参加していない個人からメンバーへの自力救済を認める「保護協会」は、サービス競争でそれを認めない「保護協会」に敗れ去るだろう。
  4. 優勢な「保護協会」は、その地域にいて「保護協会」に属していない個人に対して、自力救済を許さないことに対する補償をしなければならない。
  5. けっきょく、その地域には、「保護協会」に自分の身の安全とか自由とかを守ることを委託した「保護協会」のクライアントと、その「保護協会」のクライアントになることは願わないけれども、「保護協会」によって自力救済の自由を奪われ、その補償を受け取る人びととの二種類の人びとだけが存在することになる。すなわちこれが国家=最小国家である。
  6. 最小国家にも存在する最低限の「再配分」は、この国家によって自力救済の自由を奪われた相手へのその補償分であるとして正当化できる。

……こんなところではないだろうか。
 このあとは、この「最小国家」を超える「大きい国家」は正当化できないことの証明になるはずなので、もうちょっとは楽に読めるかなぁ。
 しかし、このノージックの本を読んでから井上達夫さんの本を読むと、なんかすごく読みやすく感じるんですけど……前に井上さんの本を図書館から借りてきたときには難しくて一日で投げ出したものだったんだが……。