猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

「木星他人説」はトンデモか

 さらに、星間雲のなかで褐色矮星が生まれるとすると、褐色矮星よりも小さい質量の「星」も生まれる――それももっといっぱい生まれそうに思うのですが、どうなのでしょう?
 もっとも、「ものが集まってかたまる」のには、適当な、一定の大きさがあるわけです。たとえば、あまりに大量のモノがかたまろうとすると、物質の構造が崩れていっきょにブラックホールになったりする(じっさいにそうなった例があるかどうかは別として)。小さいほうにも「できやすい大きさの限界」があるはずです。あまり小さい塊は、しばらくはかたまっていられても、ほかの塊の引力に引かれて吸いこまれてしまったり、両側から引っぱられて分解してしまったりということで、あまり小さい塊もできにくいでしょう。たとえば、岩石小惑星や、彗星の核のような「小さい氷の塊」(エッジワース‐カイパーベルト天体、「オールトの雲」天体、もしかすると一部の「準惑星」)が、星間雲から直接にできるかというと、星間雲では密度が薄すぎでだめなんじゃないかと思ったりする。あれは、やっぱり、原始星のまわりにガスや塵がわりと濃いめに集まったからできたものなのではないのだろうか。地球型惑星もたぶんそうで、ふわふわ漂っている星間雲が押し縮められて、すぐに岩石製の地球ができました、というわけには行かないだろう。
 そこで、私がわからないのは(専門家はわかっているのだろうけど)、星間雲がいきなり押し縮められて、木星サイズや、ホット・ジュピター型の巨大惑星はできないものか、ということです。褐色矮星サイズまではできても、それ以下はだめなのだろうか、それとも、星間雲から直接に木星ホット・ジュピター型惑星はできるのだろうか。
 もし、星間雲から直接に木星型惑星ができるのであれば、じゃあ、太陽系にいる木星土星天王星海王星の大型惑星は、みんな太陽の「自家製」なの?――というトンデモっぽいアイデアが湧いてくる。太陽系ができるある段階で、よそで勝手にできていた星を太陽が捕獲して、自分のまわりをまわる「惑星」にしてしまったのではないか?
 まあ、さすがに木星はもともといらしたような感じですが、以前、天王星海王星は成り立ちがよくわからないという説を読んだことがあります。その本が書かれた当時の理論だと、天王星海王星が最初からいまの場所で形成されたとすると、天王星海王星ができあがる前に材料がなくなってしまうはずで、できるはずがない、というのですね。だから、天王星海王星は、もっと内側で形成されて、木星とかに吹き飛ばされていまの場所まで移動したのではないか、というわけです。
 もしかして、ほかのところで星間雲から直接にできていた惑星が迷いこんできて太陽に捕獲されて、太陽系の惑星になったのだとしたら? かつて、ジャイアント・インパクト説が有力になる以前に、「月はもともと地球とは関係なく生まれた天体で、たまたま地球に捕獲されただけだ」という「他人説」という説がありました。
 では、太陽系の惑星に「他人」は存在しないのでしょうか?
 まあ、せっかく「一家」として安定してやっているなかに、強いて「他人」を見つけ出そうとするなどというのは、あんまりいい趣味じゃないかも知れないけど。でも、まあ、これまで同じ「惑星」で仲よくやっていた相手に、新規参入者が出てきたことを理由に「準惑星」に格下げするくらいの「格差社会」ではあるわけですから……(ごめんね、関係のない話題で……>「格差社会」のキーワードでここに来たひと)。