猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

やっと「水と生命」の話まで戻ってくる

 水は「分子」とはいっても酸素に水素が二つくっついただけの「小さい」分子です。しかも極性がある。小さい分子ですから、他の分子の隙間にでもわりと容易に割りこむことができます。そして、水の分子には極性があるから、相手が極性のある分子やイオンであれば、それとくっついて溶かしてしまうことができます。また、相手が極性のない分子であっても、一部分でも電気的に水の分子とひっつきやすい部分があれば、そこにくっついてその物質をばらばらにし、溶かしてしまう。完全に溶かせなくてもどろどろの状態にしてしまうことができる。
 だからこそ、水があることが「生命の存在」にとって有利なのです。水はさまざまなものを溶かし、完全に溶かさないまでも「どろどろ」の状態にするので、水のなかではいろいろなものが出会い、化学変化を起こします。そのなかで、生命体を形成するさまざまなものができてきたのでしょう。
 そこから生命体がどうやってできてきたかということになると、やっぱり私にはよくわからないところがあります。
 ただ水のなかでかき混ぜられただけでは、水に溶けているものが組み合わさってもできる物質に限界があるでしょう。
 たとえば、生物の身体に脂肪は必要なわけですが(まあ多すぎても困るわけだけど)、水のなかにいろんな物質をごちゃまぜにして脂肪が合成できるかというと……どうでしょう? 分子のなかに入っている炭素の数の少ない脂肪酸とかはできるかも知れないし、それがさらに複合して炭素数の多い脂肪酸ができたりするのかも知れないけど。それに、地球ができたころの海って、水ではなくて熱湯に近いお湯だったはずだし、地表が冷えても地下はまだ熱いままだったはずだから火山活動のたぐいはいまよりずっと活発だったはずです。お湯だと「油」もさらさらになってほかのものと絡みやすくなりますからね。皿を洗うときに、ガス代をケチって水洗いですませて、翌日になってよく見ると「あれ、脂分残ってるやん……」とうんざりするケースも……って、ちょっとは関係あるけれど、あんまり関係がない。
 そういうなかで、自己複製できる分子というのができてきて、しかもそれがアミノ酸を組み合わせてタンパク質を作る機能を持って、その分子を守る入れ物を作って、その入れ物も効率よく再生産できて、しかもその入れ物を維持するための栄養摂取の仕組みとかも獲得して……2億年とか3億年とかごちゃごちゃやってると、そういうこともできるようになるのかな? う〜む。
 もちろん、水のなかで混ざるだけではなくて、雷の放電の影響も大きかったと思いますが。
 ともかく、私たちが現在地球上で見る「いろんなものが溶けた水」や「どろどろの水」というのは、すでに生物がいる環境下で作られたものです。汚水とか、ヘドロとか、山の沼の水とかにはすでに微生物や「微」でもない生物がたくさんいる。だから、生物がいない状況での「さまざまなものが溶けた水やどろどろの水」がどんなものかというと、ちょっとやっぱり「想像を絶する」ところがあります。