猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

蛇足――化学の名まえ

 ところで、これを書くために調べていて、アルコールや脂肪酸で、炭素の数が多いものを「高級」、酸素の数の少ないものを「低級」というのだと知りました。お酒のアルコール、つまりエチルアルコールは「低級」なほうです。アルコールとしては二番めに「低級」です。たとえ一本X万円のお酒でも、そのアルコールは化学的には「低級」……う〜む。
 ちなみにいちばん「低級」なアルコールはメチルアルコールで、これは人間にとっては有毒な物質です。
 また、脂肪酸というのは、「炭素一つ+酸素二つ+水素一つ」の原子のグループ(「カルボキシル基」というらしい)を分子のなかに一つだけ持つ物質(のうちの一グループ)のことなのだそうです。この脂肪酸にさらにアルコールがくっついて、水の分子が一個抜けてできたのが「脂肪」だということです。この脂肪酸でも、炭素の数が多いものは「高級」、炭素の数が少ないものは「低級」という。なんか「高級脂肪酸」というと、「高級だから、食べても太らない」という感じがするんですけど、違うんですね。しかも、これも二番めに「低級」な「脂肪酸」は何かというと、酢酸なのだそうです(一番「低級」な脂肪酸は「蟻酸(ぎさん)」という物質で、アリやハチの毒の成分です)。その酢酸を水に溶かしたものがお酢です。これを知ったとき、私は「え? お酢って脂肪の仲間だったの?」とびっくりしました。まあ、脂肪酸と脂肪は同じものではないけど、お酢と脂肪って、なんか、こう……かなりイメージが違うじゃないですか? 栄養的に。
 あと、水酸基のように、水の分子にくっつきやすいものの性質を「親水性」というのだそうです。「親水公園」というのがあちこちにありますけど――たしかに水にくっつきやすいのか。人間が水にくっつきやすいのが「親水公園」、で、たとえば分子の一部分で水分子にくっつきやすいのが「親水基」というわけですね。
 いや〜、専門の分野というのは、いろんなことばを「世間」とはちょっと違った意味で使うんだなぁ、とあらためて感じました。