猫も歩けば...

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女性の「政治」参加はあり得るのか?

 ところで、ロックのコモンウェルスの構想で、大人の女性がその「政治」に参加できるかどうかは、私がひととおり読んだ印象でははっきりしませんでした。
 古典時代のギリシア都市国家では女性の政治参加はあり得なかったので、ロックのコモンウェルスがそのモデルを継承しているとすれば、やはり「女性の政治参加」は認めていないように読めます。また、「家庭内で保護を受けている者は政治には参加できない」というのがロックの原則ですから、妻を「夫の保護を受けている者」、娘を「両親の保護を受けている者」と見なすのであれば、やはり女性には政治参加はできないということになるでしょう。
 でも、家を代表する女性、家を率いて行動する女性もいるわけですから、そういう女性はどうなるのでしょう? 「政治」に参加できることにしないと筋が通らないようにも思いますが、ロックがそういうばあいを想定しているかというと、あまりしていないようにも感じます。
 ただ、ロックが『統治二論』を書くきっかけとなったのはステュアート王朝の王位継承をめぐる対立です。ロックは絶対王制の傾向の強い家系の王子(後のジェームズ2世)を継承者から排除しようとした。そうすると、ステュアート王朝は、メアリー王女(後のメアリー2世。「名誉革命」で、女王として、夫のウィリアム3世とともに即位することになる)を通じて伝えなければならないことになります。ここで、メアリー王女が「コモンウェルスの一員」の資格を持っていないと、メアリーは国王になることもできないことになります。ロックのイギリス政体論では国王は「執行権力」(行政権)と「連合権力」(外交権)を担う役職なので、王は政治参加ができないといけない。だから、ロックは、ある程度は、または、ばあいによっては、女性の「政治」への参加の権利も認めていたと言えるのかも知れません。
 この話題は私にはよくわからないので、時間があれば、専門家がどう言っているか調べてみようかとも思いますが。