猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

「帯状の輝き」が地上を照らす世界

 ということは、フォーマルハウトや恒星 HP 8799 やがか座ベータ星の周囲の「塵の円盤」にある塵の分量は、太陽系の小惑星帯よりもずっと多い。たぶん、水星と金星と地球と月と火星がぜんぶ「塵」に戻った分量よりずっと多いのではないでしょうか。
 フォーマルハウトや恒星 HP 8799 の巨大惑星から空を見上げたとすると、中心星は「地球から見た太陽」よりはずっと遠いのでほんの小さくしか見えないかわりに、その濃い「塵の円盤」が空に帯状に広がって輝いているのですね。だから、その明るい帯状の輝きが空に上って朝になり、沈んで夜が来る。帯状の輝きなのではっきりした影もできず、間接照明の部屋のなかにいるような感じになるのかな。
 じつは、同じように、惑星軌道面を中心に空が帯状に「ぼーっとした輝き」を見せるという現象は地球からも見られるはずなのです。「黄道光」という現象で、小惑星とか流星のもとになる「塵」とかが太陽光でぼーっと光って見える現象なのだそうですが。
 私は見たことがありません。空が明るくて、そんなものは見えないのです。
 その塵は、太陽の反対側で(前回書いた「光は正面にいちばんよく反射する」という原理で)ほかのところよりも明るく見える。これを「対日照」というのだそうですが、これも見たことはありません。
 実際にフォーマルハウトや恒星 HR 8799 の惑星に人類が住めるかというと、難しいように思いますけれど、太陽ではなく帯状の「空の輝き」が地上を照らす世界は、ファンタジーの舞台としては魅力的だと思います。