猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

粒子の「大きさ」・「質量」とは?

 この本で新しく知ったのは、粒子の「大きさ」・「質量(重さ)」の基準についてです。
 量子力学では粒子というのは「場の状態」の一つだと考えます(と言っていいんだろうなぁ……?)。この本にも出てくる、朝永振一郎の使ったたとえでいうと、「場」の電光掲示板で電球がついている状態が「粒子が存在する」、電球が消えている状態が「粒子が存在しない」という状態に相当する。LED全盛のいまの時代では「電球」の電光掲示板というのはあまり見かけなくなりましたけど。LEDのたとえにすると、色の問題が出てきて、なんかややこしくなりそうな感じがするんですよね。RGBで色がついていると、クォークの説明には適当なのかも知れないけど。
 で、「場」が波打って(振動して)いて、その波打っているのを観測すると「粒子」のように見える。だから、量子力学では、粒子には波の性質があり、「場の波」(普通観測できるのは光とか電波とかですが)にも粒子の性質がある、というわけです。
 でも、粒子というと、ケシ粒みたいなちっちゃい球みたいな印象があるわけで、大きさというと、その堅いケシ粒の大きさみたいなのを想像してしまうわけですが。
 この本によると、ある粒子の「大きさ」というのは、「ほかの粒子がその粒子を通り抜けられない範囲の大きさ」をいうのだそうです。だから、その「ほかの粒子」が何かによって「大きさ」は変わってくる。ケシ粒だったら、たとえばごまの粒を当てても、アブラナの種を当てても、もしうまく当てられるなら(そして当たってもケシ粒が壊れないならば)サッカーボールを当てても、ケシ粒の「通り抜けられない範囲の大きさ」は変わらない。しかし、原子とか、原子の内部の原子核とかでは、そうではない。原子は、他の原子がぶつかってきたら通さないでがんばるけれど、ニュートリノだったら、ニュートリノ原子核に接近して「弱い相互作用」が働いたりしないかぎり通り抜けさせてしまう。だから、粒子の大きさは「この粒子に対してならば、大きさはこれくらい」としか決められないというのが佐藤さんの説明です。
 ただ、この話の途中で、前回引用した「粒子は波である」という説明に行ってしまうので、なんか話が完結していない感じがするのですね。
 でも、「大きさ」は、まあ、そうかな、とわからないでもない。
 新しく知ったのが、粒子の「質量」とは天秤で量れるような「重さ」ではないということです。
 まあ、どんなものにしたって「もの」は粒子が集まってできているわけで、その「重さ」のもとをたどれば「粒のような粒子」の重さが積み重なったものだろう、と思う。それはたぶんそうなのですが、では、粒子の「質量」≒「重さ」とは何かということですね。
 これは、「場」の振動(=粒子として観測される)の「角振動数」というものを考えたとき:
 (角振動数)2=(定数角振動数2+(波数)2×(光速)2
という関係が成り立ち、その「定数角振動数」の部分に相当する部分を、アインシュタイン特殊相対性理論から出てくる「エネルギーと質量の関係」の式
 (エネルギー)=(質量)×(光速)2 (E=mc2
の「(質量)×(光速)2」部分に読み替えて導き出される数値が「粒子の質量」ということになる。
 ……って説明されてもよくわかんないっ!!
 「角振動数」って何?! なんでそれが「定数」部分と波数で変わる部分に分かれるの?! それとなんでそれが「エネルギーと質量の関係の式」にあてはまっちゃったりするわけ?! ……じつは「エネルギーと質量の関係の式」との関係については「コラム」が2ページついているのですが、これも読んでもよくわからない。
 ま、つまり:
 (1)粒子というのは「場」の振動を観測したときに見えるものである;
 (2)場の振動には、「これ以上は小さくならない」という振動数がある(ない場合もある。そのばあいは「質量0」になる);
 (3)その「これ以上は小さくならない」という振動数から「粒子の質量」というのを推計する
ということらしい。そして、それを積み重ねれば、積み重なってできた大きな「もの」の「質量」の値とも一致する――ということなのだよなぁ?
 ともかく、私には長いあいだ「粒子は存在するのに、質量はゼロ」というのがよくわかりませんでした。「もの」があるんだったら、そりゃ「重さ」はあるんじゃないの、と思っていたわけです。でも、「じゃあ、光に重さはあるの? 電波に重さはあるの?」と言われたら、それは「ないんじゃない?」と思うし、だったら光とか電波とかは「光子」という粒子なんだから「光子には重さ(質量)はない」で正しいということになるし、でも光子も「光の粒」だとしたら「粒」のくせに重さはないの?――と、なんかこう堂々めぐりしてしまう。
 それを「場の振動を観測すると粒子に見える。粒子とはそういうものに過ぎない」として(ここまでは何となくは知っていたんだけど)、振動のあり方の一種が「質量」なんだとしてしまえば、だから振動に「これ以上は小さくならない」という限界がなければ質量はゼロになるということで、納得は……。
 できるかな?