猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

「撰銭」の話の続き

 現在の社会では、外国為替が「撰銭」の場と似たような性格を持っている。自分の資産を合衆国ドルで持つか、ポンドで持つか、ユーロで持つか、日本円で持つかを私たちは「撰銭」できるわけだ。たとえば、アメリカでテロが起きたりするとドルが嫌われて値下がりし、欧州統合が不安定になるとユーロが値下がりするというように、私たちは、その「銭」の信用性を見ながら「どの銭で自分の財産を持つか」を決めている。
 でも、現状では、日本の人はたいてい円で自分の財産を持っている。外貨預金をしている人もいるけれど、日本円の預金をぜんぜん持たないで外貨預金だけというひとは、私の知っている範囲にはいないようだ。だから、私たちは、日々の生活のなかで、それぞれの通貨の信用に気をつかいながら「撰銭」をする必要はない。
 でも、究極の「民営化」として、貨幣の発行が民営化されたら、私たちは日常的に「撰銭」しなければならなくなるだろう。つまり、日銀券とその補助貨幣だけが貨幣として通用している状態を改革して、どこの銀行でも通貨を発行できるようにするのだ。たとえば、みずほ銀行券とか、UFJ銀行券とかが発行される。そうすると、どの銀行券が信用できるかということを、私たちは、日々、注意していなければならなくなるだろう。どこかの銀行の銀行券は受け取りを拒否されるとか、どこかの銀行の一万円札は、他の銀行の一万円札で1万2千円の価値があるとかいうことも起こるだろう。また、銀行が、最初からプレミアムがつくことを狙って、枚数限定の記念貨幣を発行することも起こるかも知れない。現在の記念切手みたいなものである。
 そういえば、郵政民営化になったら、現在の郵政公社の後継会社以外でも切手が発行できるようになるのかな? そうなったら記念切手発行競争みたいなのが起こるかも知れない。
 同じ千円札でも複数のデザインがあることになると、自動販売機とかは大混乱になるかも知れない。でも、ハード的な改良は不必要にして、データを入れ替えればいいことにすれば、対応不能ということにはならないだろう。むしろ、自動販売機で使えるか使えないかで「撰銭」が発生するかも知れない。セキュリティー対策がきちっとできている紙幣が高く評価されるけど、あまりに万全すぎて対応がめんどうな紙幣は敬遠される……とか言うことも起こるかも。
 そうそう、現実に起こっている「撰銭」がある。2000円札だ。この紙幣が実用されているところは、私はコミケ以外で見ることはまれだ。コミケでも最近は見かけなくなった。コンビニでバイトしている知り合いにきくと、お釣りを2000円札で出してはいけないらしい。2000円札でお釣りを渡すと、お客さんに怒られたりするからだという。これなんか露骨な「撰銭」だよね〜。
 私は2000円札好きなんだけど。1000円台の同人誌買うときとかにさぁ(けっきょくそういう話か……)。もしかして受け取ったサークルさんとか迷惑なのかなぁ?