猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

日本は四季ではなく六季(以上?)

 さらに、日本の季節はじつは「春‐夏‐秋‐冬」にはなっていない。「春‐初夏‐梅雨‐夏‐秋‐冬」なのです。だから、3月の後ろのほうから9月ごろまでの半年に「春‐初夏‐梅雨‐夏」が集中していて、9月の後ろのほうから3月ごろまでの半年は「秋‐冬」しかない。以前は私は「日本の季節は春‐梅雨‐夏‐秋‐冬の五季」と言っていたのですが、5月から6月の梅雨入りまでは「初夏」だなぁと思って一つ増やしました。
 だから、春は比較的短くて、東日本以西の本州・四国の太平洋岸のばあい、桜が開き始めてから完全に散ってしまうまでプラス1〜2週間です。言ってしまえば「桜の春」しかない。でも、秋は「中秋の名月の秋‐行楽の秋‐紅葉の秋」の三段階構成になっているように思います。まあぜんぶ「食欲の秋」だとか言ってしまえば一段階ですが……「食欲の季節」なんて一年中やん……などと言うと身も蓋もない。でもねぇ、さすがにラーメン二郎は(もともと「二郎」だった店や多くの「二郎リスペクト」系の店も)何も増さない「小」でも厳しくなりましたよ。5年ほど前までは「大」や「小豚ダブル」までは平気だったんだけど。
 二郎の話は措くとして、冬も、12月に寒くなって、2月の終わりごろまで基本的に寒いままです。だから、立春は、東日本以西の本州・四国太平洋岸では、2か月近くの「冬」を経験してからやって来ます。けれども、「夏らしい暑さ」を「よく晴れたかんかん照りの暑さ」だとすると、梅雨明けが7月20日ごろだとすれば、立秋は「夏らしい暑さ」をそれほど経験しないうちにやって来る。最近は梅雨明けがもっと遅いことも多い(そういう印象なんですが)。そうすると、「夏らしい暑さ」の日は、立秋の前後で均等か、立秋の後のほうが多かったりもするわけです。
 もっとも「梅雨も夏も蒸し暑い」として、「梅雨らしい暑さ」と「夏らしい暑さ」を区別せずに「蒸し暑い」と認識すれば、立秋までに「蒸し暑い日」はかなり経験している。でも、梅雨のあいだは気温の上がらない日もあり、東日本以北では「寒い」と感じられる日もときどきあります。だから、立秋までの「暑い日」の数は、「梅雨らしい暑さ」を含めても実際にはそんなに多くない。
 ただ、5月ごろの「初夏」の記憶があるので、そこを「夏」に含めると「夏は長い」という印象ができる。また、梅雨は「蒸し暑い」か「湿っていて寒い(涼しい)」かで「湿度が高い」ということでは連続していて、あとから振り返るとまとめて「蒸し暑い」ことになってしまうということがあるのかも知れません。「暑い夏」を「いいもの」として捉えるときには短い「からっとした夏の暑さ」を、「この暑さはいつまで続くんだ」と「よくないもの」として捉えるときには長い「蒸し暑さ」を問題にするというように、私たちは「夏の感覚」を使い分けているように思います。
 でも私は夏の「時間の長さ」感というのが好きだな。はっぴいえんどの「夏なんです」とか、スタイル・カウンシルの Long Hot Summer とかのけだる〜い感じ……聴いたことのない方は、もしよかったら、夏になったら聴いてみてください。
 あ。なぜ私が夏を短いと感じるかという理由をもう一つ思いつきました。
 私のばあい(「私たちのばあい」と同好の人を巻きこみたいと思うけど、とりあえず私個人のばあい)、季節の進みが「春‐初夏‐梅雨‐夏」ではなく、もう一つ、「季節」が挟まるのです。つまり:
 春‐初夏‐梅雨‐コミケ(修羅場)‐夏。
 文章を書いたりコピーしたり折ったりしているあいだに本来の「夏」が過ぎてしまうんです(冬はコミケがなくても慌ただしい時期に「コミケ前」が来るから、その季節の修羅場度が上がるだけで「季節」は増えない)。ああ、最近、「夏らしい夏」を過ごしてないと思ったら、なんだ、そういうことだったんだな。