猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

新刊のこと、それをきっかけに考えたこと

 今回の「アトリエそねっと」の新刊『月が昇るまでに』は、漁村に引っ越してきた少女の出会いと冒険とちょっと別れのひと夏(〜秋)の物語です。
 7月に出した、漁村を舞台にした時代物『荒磯の姫君』(未完、というより最初の部分だけしかない)の続篇……というより、同じ村を舞台にした現代物です。少女たちの友情の物語……のはずだったのですが、なんか登場人物の一人がマッドサイエンティストっぽくなってしまったり、偽史ものっぽくなったり……。
 ここ2回の新刊は「漁村もの」なんですが、それを書いてみて突き当たった壁は、私が漁村の生活も漁業もまるで知らない、という現実でした(もちろんほかにも壁はいろいろありましたけどね。だいたい、自分で気づいていない壁にじつはいっぱいぶち当たっていると思う)。
 これは、この物語を書く、ということを離れても、ちょっとまずいのではないかと感じています。日本列島は海に囲まれているわけで、海からは離れることができない。しかも海からいろいろな恩恵を受けている。その海ではいまいろいろな問題が起きている。他方で、海の生物に関してはいろいろとわかっていないことがまだ多いらしい。しかも、それがそれが日本の産業としての漁業の問題にじかにつながったりもする。
 そんなわけで、漁村の生活や漁業について、これからはもっと関心を持っていきたいと思っています。
 あと、時代物の『荒磯の姫君』については、もう一つ、自分が江戸時代のことについてじつはよくわかっていないということに気づきまして……。
 『鬼平犯科帳』とか『剣客商売』とか観るの好きだったし、藤沢周平の作品も好きなんですが(最近ご無沙汰していますが……)、自分で時代物が書けるかというと、難しかったです。藩の藩主は、家族とともにいつも自分の藩にいるものだという前提で書いていたら、参勤交代で藩主は隔年で江戸に滞在、妻子も江戸在住だったことにあとで気づいたりして。
 ということで、江戸時代についても、いろいろと知っていくようにしたいと思っています。
 ところで、新刊で「足が攣ってもだいじょうぶ、すぐ治るから」とか書いたら、重い荷物(その主内容は同人誌)を持って駅の階段を何度も上り下りして家に帰ってくるとさっそく足が攣って……ほうっておいてすぐ治るわけないじゃないですか、と自己ツッコミしていたりしました。