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「半月」状態の惑星をよく見つけた!

 昨年11月に発見されたフォーマルハウトの惑星とペガスス座 HR 8799 の惑星には共通点があります。それは:
  中心星(恒星)の周囲に塵(土ぼこりのようなもの)の多い「円盤」があるということ;
  海王星軌道のずっと外側を回る「遠方の惑星」であるということ
  木星の3倍〜10倍の大きさの巨大惑星であること
です。
 このうち、「巨大惑星であること」ということからは、「系外惑星には木星の数倍の巨大惑星が多い」とか、「塵の多い円盤では巨大惑星ができやすい」とかいうことはできません。現在の観測条件は、まだ、小さい惑星があっても写らない、または、小さい惑星はたとえ写っていても見分けられないからです。
 ただ、宇宙には、木星の数倍の大きさの惑星が普通に存在するということは言えます。これまで見つかっている「ホット・ジュピター」でも木星より大きなものがいくつも見つかっているからです。
 しかし、そんな大きな惑星であるといっても、「よく見つけた」と私は感心します。
 中心星から離れたところに写っているのを見つけたということは、光っている面を「横」から見ているんですよね。光っている面の「正面」(満月と同じ状態。惑星でいえば「衝」)ではないはずです。「正面」が見えるということは、惑星が中心星(恒星)の向こう側に見えるはず、つまり、中心星のすぐそばに見えるはずです。惑星が明るくても、中心星のまぶしさがはるかに勝ってしまいますし、また、「中心星のまぶしさを覆い隠して、微かな光の惑星を見つける」といういまの方法では、中心星すぐ近くに見える惑星はまず見つけられない。
 惑星のように中心星(恒星)の光を受けて輝く天体は、横から見ると明るさが減ります。月でいうと「上弦の月」や「下弦の月」などの「半月」と同じで、まず、光って見える面積が少ない。さらに、惑星や月にあたった光はやはり正面にいちばん強く反射する。横へ反射する光は少ないので、横から見える光は弱くなります。だから、半月の明るさは満月の明るさの半分かというと、そうではなくて、満月よりもかなり暗いはずです。
 フォーマルハウトの惑星や HR 8799 の惑星はその「半月」状態で見つかっていると考えていいでしょう。ということは、それがいちばん明るく見える状態からするとわりと暗い状態で見つかっているのです。
 やっぱり大きい望遠鏡と、それに設置されている観測装置はすごい、と思います。