猫も歩けば...

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「コールド・ジュピター」のある惑星系

 さて、ハッブル望遠鏡が発見したフォーマルハウト(みなみのうお座、一等星、秋の南空で目立つ星)のばあいも、今回の HR 8799 のばあいも、大きい塵(ダスト、土ぼこりみたいなもの)の円盤に囲まれている恒星でした。
 フォーマルハウトの惑星が中心星(フォーマルハウト)から170億キロ(太陽‐地球間の113倍ほど=113天文単位)、HR 8799b が中心星(HR 8799)から103億キロほど(68.7天文単位)のところを回っている巨大惑星です。といっても、これぐらい遠いと、地球を基準にした普通の「天文単位」ではどれぐらい遠いか直感的にはよくわかりません。そこで、太陽系で現在のところ「最遠の惑星」とされている海王星と較べると、太陽‐海王星がほぼ30天文単位ですから、HR 8799b が「海王星の2.3倍遠く」、フォーマルハウトの惑星は「海王星の3.8倍遠く」を回っていることになります。
 また、フォーマルハウトの惑星が木星の3倍、今回観測された HR 8799b が木星の10倍程度ではないかとされていますから、太陽系には存在しないほど遠くを、木星より大きな(しかもフォーマルハウトの惑星は土星のような大きなリングを持っているらしい)惑星が回っているわけです。
 そういう遠方の木星型っぽい巨大惑星(「コールド・ジュピター」とかいうのかな?)が塵の円盤と共存している。これは、「木星型っぽい巨大惑星」が太陽系の水星よりはるかに中心星に近いところを回っている「ホット・ジュピター」に劣らず「驚くような惑星系の姿」、あくまで「太陽系が常識的な惑星系だ」とすると(そうだとする根拠は何もないのですが)、ホット・ジュピターのある惑星系に劣らず「非常識な惑星系」ということになります。
 この一連の発見で、どうやってそんなものができたのか、ということを考えるのが、また興味深くなってくるということはいえるのではないでしょうか。