猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

スペースシャトル

 機体に負担のかからない帰還のしかたというのはないのだろうか? しろうと的知識で考えてみることにする。
 機体を激しい空気抵抗にさらして速度を落とすのでは温度が上がってしまう。コロンビア事故の背景にはそのことがあったという。では、抵抗を少なればいいかというと、抵抗が少ないとこんどは速度が落とせず、速い速度で突っこんでくることになるので、その速度のせいで温度が上がってしまう。宇宙で地球の重力と対抗できる――地球の重力に引かれても地球に落ちない――だけの速力で飛んでいて、そこから大気中で安全に航行できる速度まで落とさなければならない。しかもそれを大気圏再突入の短い時間で行うのだから、やっぱりたやすいことではない。
 時間をかけて高度と速力を落とせるような仕組みがあれば機体に負担をかけずにすむのだろう。そのためには、浅い角度で大気圏に入り、少しずつ高度を下げられるような仕組みがあればいいのだろうけど、速度を下げないで浅い角度で大気圏に突入したら跳ねとばされてしまう。跳ねとばす力を押さえつけて大気圏の中に徐々に入ってこようとすれば、その分の動力が必要になり、その分の燃料を積んでいかなければならない。
 燃料を使うのなら、逆に垂直に近い角度で突入して逆噴射して速度を落としながら降りてくるという方法もある。
 たとえば、宇宙ステーションに、打ち上げのときと同じような燃料タンクを用意しておいて、帰りにはその燃料タンクを背負い、大気圏突入時に逆噴射して速度を落としながら落下するという方法も考えられる。でも、ステーションまでどうやって燃料を持っていくかが問題になるだろうな。
 大気圏外では、いま「はやぶさ」(寝台特急ではない)に積んでいるイオンエンジンというのを使って、これで減速して……ということも考えるけど、イオンエンジンというのは大気中ではあまり使えなさそうだし、大気圏外で下手に減速すると急角度で落ちてしまって危険だ。う〜む。
 あと、考えられるのは、水を積んでいって、突入時に放水して周囲に水蒸気の幕を作って温度差を緩和するとか、あらかじめ融けてしまう材料を分厚く塗っておいてそこを蒸発させながら落下してくるとかだけど、放水するのは難しそうだし、だいいち、そのぶん荷物が重くなってしまう。融ける材料を使うのはたしかソ連が再突入で使ってたんじゃなかったっけ? でもそれにしても重くはなるしねぇ。
 あまり「断熱材のかけらがぶつかった」事件には関係がなさそうだが、引きこみ脚にして陸上基地に帰還するという方法をやめれば、シャトルの構造が単純になり、浮いた重量を構造強化に使えるのではないだろうか?――と帝国陸軍のキ-115「剣」のようなことを考えてみる。「剣」は、離陸のあと、脚を捨て、帰りは胴体着陸して乗組員とエンジンだけを回収する計画だった(それが「帰還を断念している」と解釈され「特攻専用機」という誤解を生んだらしい)。シャトルも陸上への帰還を断念して水上に着水するか、胴体着陸で着陸して、破損したところはそのたびに作り直すとかすれば、複雑な引きこみ脚構造の分の重量を減らせる。ただ、水上に降りることにすると、たぶんあの機体は浮かなさそうだから危険だし、胴体着陸を繰り返すと機体全体にガタが来て危なそうだ。それに、第二次大戦期と違って、いまでは引きこみ脚構造はそれほど負担にならないのかも知れない。で、第二次大戦がなくても引きこみ脚構造は急速に一般化したかな、とかふと考えてみる。
 ともかく、シャトルにしてもH-IIにしても、宇宙技術というのは難しい技術で、GPSとかで宇宙技術が日常レベルに入りこんでいるにしては、まだまだ発展途上なのだなということを実感する。
 ところで、野口聡一飛行士が宇宙からメールを送ってきたということだけど、シャトルとか国際宇宙ステーションとかからはてなダイアリーとか読めるのかな? 宇宙ステーションでブログを書いたりできるんだろうか、というか、してるんだろうか? 宇宙から携帯メールが届いたりすると、なんか『ほしのこえ』みたいだなーとか思ったりするんだけど。