猫も歩けば...

― はてなダイアリーより引っ越してきました ―

褐色矮星とは?

 この「T型星」というのは「褐色矮星」なのだそうです。で、「褐色矮星」というのは:
 ・太陽質量の0.075倍(7.5パーセント、だね)以下、0.013倍以上の質量(重さ)を持ち
 ・普通の水素による核融合反応はできないが、重水素による核融合反応はできる
 ・惑星ではない
星ということです(というようなことはじつははてなキーワードに書いてある。数字がちょっと違いますけど)。
 重水素というのは、普通の水素の原子核がプラスの電気を帯びた「陽子(プロトン)」一個だけでできているのに対して、原子核が陽子と中性子一個ずつでできた水素ですね。水素の「同位元素」とか「アイソトープ」とかいうものの一種です。私たちの身の回りの水のなかにも重水素は一定の割合で存在しています。その比率から見て、地球の水の起源がどうたらこうたら……という議論も読んだことがあります。
 重水素原子核が、別の重水素原子核とくっつく(核融合する)と普通のヘリウム(ヘリウム4)になりますし、重水素原子核と普通の水素の原子核がくっつく(核融合する)と軽いヘリウム(ヘリウム3。ヘリウムの同位元素)になります。しかし、普通の水素の原子核(陽子1個だけ)が一度に3個か4個くっついてヘリウムになるのは難しい。一度、普通の水素が重水素になって、それからヘリウムになるというステップが必要なので、それだけエネルギーがよけいにかかります。
 星のばあい、そのエネルギーはどこから来るかといえば、自分自身の重さでその中心部を圧縮して生まれる重力エネルギーしかない。太陽質量の7.5パーセント以下だと、重水素核融合させるだけの重力エネルギーはできるけれど、水素を核融合させるエネルギーが出ないということのようです。
 で、太陽質量の0.013倍以下になると、重水素核融合もできなくなってしまう。そうなると、自分では光り輝くことのできない星になってしまいます。この太陽質量の0.013倍というのは、太陽系最大の惑星である木星の13倍ということになるそうです。つまり、木星の質量は太陽の0.1パーセント、ということですね。
 また、重水素の量は、普通の水素に較べてかなり少ないので、褐色矮星はすぐに「燃料切れ」を起こしてしまいます。そうすると、やっぱり自分では光り輝くことのない星になるわけです。
 ちなみに、太陽質量の7.5パーセントよりちょっと重い天体になると、普通の水素の核融合が始まってしまいます。しかも、ほんのちょっとずつ、しょぼしょぼと燃やすので、暗いけれどもすごく長命の星になる。もし、宇宙ができたときにこの「褐色矮星すれすれの星」ができていたらまだ輝いているという計算になるそうです。